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赤いイナズマ


京浜急行に乗った。

首都圏最速を誇る私鉄(便宜上)。
真っ赤なカラーに身を包み、並行する巨大組織=『JR』に日々バトルを挑み続ける鉄道会社。
その戦いの、一部始終を捉えた記録である。

2008年5月23日(金)。
上大岡より乗車。
列車種別は『快特』。
線内最速の称号で、いざ品川を目指す。

発車。
しばらくは急カーブが多く、この先に向けた慣らし運転が続く。
住宅地をかすめ、幾つかのトンネルと急カーブを乗り切ると横浜。
ここから、いよいよJRとのバトル区間に入る。

1分停車で、息を整える。
その間に、宿敵JRの銀色車体(東海道線)が品川へ向けて先発。
ターゲットが定まる。
やがて鳴り響く発車ベル。 閉まるドア。
車掌より、発進合図が入電する。

「第一出発、進行!」

ヤル気満タンの、運転士の換呼。
純白の手袋がマスコン(アクセル)を握り、一気にフルノッチへと投入する!
唸りを上げるモーター。
京急最大の特徴、ドレミファインバータ(起動サウンド)が炸裂する。

「発車、定時!」

JRに遅れること45秒。
追撃開始。
カタパルトのごとく伸びる高速軌道を、あれよと言う間に増速して行く。

「第一場内進行、本線快特!」

進路に並ぶ信号機群は、オールグリーン。
許容最高速度にて、全力で目標を追い抜けと言っている。
JRに対抗すべく、総力を挙げてチューニングした足回りが覚醒。
その走り、稲妻のごとく。
人々はそれをRed Thunder -  『赤いイナズマ』と呼んだ。

途中駅で、先行する同僚の普通列車を追い抜く。
彼もまたJRに敗北し、全ての願いを快特に託している一人だ。
普通は言う。

「俺じゃ、ヤツに太刀打ちできない。快特よ、あの緑とオレンジの電車を打ち負かせるのは、お前しかいない」

その願いを受け取ったかのように、快特運転士は再度、ハンドルをトップギアに入れる。

「任せろ相棒。お前のカタキは、俺がとる!」

警笛一発。
大きく右に傾いたままの速度計の針が、更なる上昇を開始する。
周囲の景色が、飛ぶように後方へ流れ去る。
すれ違う列車との相対速度は、既に新幹線の最高速度にも匹敵している。

やがて前方に、先発したJRの車影を捉えた。
資金力にモノを言わせた鉄道会社が、大量生産したステンレスボディの奴だ。
こいつに、いくつもの同僚が挑み、そして敗れた。
駅間距離が短い京急では、張り合う前に次の駅に着いてしまうからだ。
それを食い止められるのは、JRと同等の駅間距離を維持できる、快特のみ。
俺がやらねば、誰がやる?
JRよ、いつまでも王者でいられると思うなよ!

まるで煽るかのように、警笛を鳴らす快特。
ついに、JRの最後尾に追いついた。
高速で流れる遮へい物の隙間から、同速で走る目標の姿が見える。
やがてそれが切れると、ガチで勝負する二本の列車が並んだ。
赤と銀のそれは、互角の走りを見せる。
高速走行で躍動する相手の足回りが、手に取るように見える。

快特運転士は、仕掛けた。
敗れ去った仲間の思いを一心に背負い、京急と言う社運すら背負って、マスコンをP5フルノッチ位置に投入する。
咆哮を上げるモーター。
コーナーの大外から、強引にアタックを開始する!

車体を大きく傾け、抜きにかかる快特。
それまさに、イナズマのごとく。
イン側を走るJRも必死で抵抗するが、本気を出した京浜急行と言う電車の前には無力だった。

ストレート(直線区間)に入り、速度の差は歴然化する。
見事なハンドルさばきで、最大手の鉄道会社に打ち勝った京急。

彼の名は2100形。

そのダルマ顔には、しかし『打倒JR』を達成した黒目が描き込まれていた。




2008-05-28 : 旅テツ : コメント : 0 : トラックバック : 0
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自称鉄道マニア兼絵描き。

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