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重機関車を動かす 2/2 (実践編)

014.jpg
幾多の機材が醸し出す独特の雰囲気に威圧される中、
いよいよ発車準備に取り掛かる。

ここでは、車庫で寝てる機関車を起動させるところから始まる。
数十に渡る手順を、順番通りにこなさないと起きてくれない。
大まかには、4つの行程から成る。

1、パンタグラフ上げ
2、空ノッチ試験
3、通電試験
4、制動試験


まずはパン上げ。
所定スイッチ類を操作の後、パン上昇を『目で』確認する。
これは、2基のパンタが架線に接地したことを確認するため。
電圧計は、1パンでも着けば上がってしまう。
ゆえに、2コパンの確実接地を目視確認。
片方が中腰で止まってたりすると、アークで架線溶断の原因にもなる。
続いて空ノッチ(モーターに通電しない状態での動作確認)。
通電試験(モーターに通電しての試験。冷却用の送風機も回す)。
そして一番てこずる項目に入る。

・難関 制動試験
011.jpg 
単弁、自弁、2本のブレーキが正常動作するかをチェックする。
ブレーキにはタイムラグがあり、メーターを見ながらだと全然合ってくれない。
給排気の音と時間を、ある程度身体で覚える必要がある。
また、制動やユルメの位置が数字で1、2、3…と刻まれてるのではなく、
〔運転〕〔保ち〕〔重なり〕〔常用ブレーキ〕…と言った具合で決められてるので、
これが頭に入ってないと混乱する(しました)。

盛りだくさんの手順を終えると、今度は反対側の運転台へ。
前述の通り、機関車には前後2箇所に運転台があるので、
それぞれでチェックしなければならない。
東京を向いてる方が〔1エンド〕、反対が〔2エンド〕。
1エンドから乗り込んでるので、3本のハンドル(単弁、自弁、逆転器)を持って2エンドへ。
途中、機械室内でエンド切り替えスイッチや、ATSの上り/下りの設定変更をする。
初めて乗った時は、この時点で泣きそうでした…(マジで)。


■第2エンド運転台

012.jpg 
一見、1エンドと同じだが一部計器が省略されてる。
発電ブレーキ関連のパイロットランプや、補機用の電流計、空転検知ランプ等。
これは、現役時にこちら側の運転台が、基本不使用だったため。

1エンドと同様、空ノッチ、通電、制動と試験。
後、いよいよ発車である。
HB(ブレーカ)リセット、送風機起動。
後方でヴオオオオー!と機器が唸り出し、もはや行くしかないと言うノリになる。
前照灯点灯、逆転器〔前進力行〕位置。
ブレーキ緩解、汽笛一声で1ノッチに投入すると、カシャ!と言う開閉音と同時に、
108トンの機関車は驚くほど滑らかに起動する。

「発車!」 (友情出演:同行の関西のひと。)
013.jpg 
5回目にして、ようやく緊張の中にも、感動する余裕が若干ながら出たように思う。
圧力計の各定位置、電流計の確認。
続いて2ノッチ、3ノッチと進めると、歩く速度よりも遅くEF63-12が走り出す。
ゴ・ト・ゴ・トン…と重々しくレールの継ぎ目を踏む音。
それが振動を伴って、身体に伝わってくる。

6ノッチに投入。
更にシリース(直列)に入れると、いよいよ自動進段が始まる。
7~11ノッチまで、5段階分が順次進段。
後方の機械室からは、カシャ!カシャ!と電磁弁のリズミカルな動作音が響いてくる。
その合間に、ガラガラガラ…と機織り器のようなバーニア制御の音。
各ステップ間をさらに細かく区切り、より滑らかな加速をさせるメカニズム。
これを入れることで若干加速は鈍るものの、空転滑走が起き難くなり、
機関車の性能を最大限に引き出せる。

シリース最終段まで進段すると、速度はようやく15キロ。
外は晴れ。
三連休ラストのため、親子連れが手を振ってる。
ピッ!と汽笛で対応。
ああ、機関士さんてこう言う思いなんだろうな…。
とか悦に入ってる余裕は既になく、さっそく停止練習。
上り勾配での停止。
マスコンを順次3ノッチまで戻し、自弁にてブレーキ(0.4減圧)。
低速なので、あっと言う間に止まってしまう。
直ちにノッチオフ→勾配起動。
クルマの坂道発進と同じように、ブレーキをかけたまま3ノッチまで進段させる。
ブレーキ緩解。
上り勾配なので、3ノッチでも均衡して動かない。
緩み切った所で4ノッチに入れると、列車はジワリと動き出す。
2度目の起動はバーニアを切るので、自動進段のタイミングが早い。
ちなみにマスコンの握りレバーを握ったままにすると、
自動進段中でも任意段でホールドできるらしい。

かつての信越本線上を行く。
14年前まで列車が来ていた道を、自分の手で機関車を動かしてる。
しかし体験線ではノッチはシリース止まり。
すぐに折り返し地点が来てしまう。
勾配線上なので、先と同様の扱いで3ノッチ残しで自弁停車。
直ちにノッチオフ、逆転器〔中立〕位置。
ブレーキを一杯にかけ(常用全制動)、全てのスイッチを切ってエンド交換の手配を取る。
先に続く信越線の線路。
俺はまだまだ行けるぜ!
と、12号機の声が聞こえてくるようだった。

■降坂 発電ブレーキ(画像は第1回目のもの)
015.jpg
再び1エンド。
今度はブレーキを使い、元の場所まで戻ってくる。
パン上げ。
空ノッチは行なわず、逆転器を〔前進発電〕位置へ。
これで、マスコンが発電ブレーキの制御ハンドルになる。
発電ブレーキとは、クルマで言うエンジンブレーキに当たるもの。
モーターを発電機として働かせ、その抵抗力をブレーキにする。
碓氷峠では、帰りは一方的な下り勾配なので、 車輪を押さえつける通常のブレーキでは一発でパッドが焼けてしまう。
ゆえの使用。
制動により抵抗器から生まれる莫大な熱は、送風機によって屋上から大気中に放出される。
そのため、峠を下るロクサンは熱と共にやってくる。
メラメラと陽炎を立ち上らせ、列車をサポートしてくる姿は登坂時にも増して魅力的だった。

ハンドルを最大のB9位置まで進める。
後、ブレーキ試験。
25パーミル(1000mで25m下る)勾配上なので、完全には緩めない。
単弁試験の後、発車。
ブレーキを緩めると、慣性により列車は音も無く下り始める。
クルマで言えば2.5パーセントの下り坂だが、運転室からは結構な勾配に感じる。
身体は前のめり気味になり、このままどんどん速度が上がっていくのではないかと 不安にすらなる。
そこで、発電ブレーキが起動。
運転台上のパイロットランプが点灯する。

「発電、立ち上がり!」

正直、かなりほっとする瞬間。
実際、乗務されてた機関士さんでも同じ感覚だったらしい。
現役時は、最大66.7パーミル。
しかも軽井沢を発車した直後にいきなりこの勾配で、更にトンネルに入るため
曰く「奈落の底に落ちていくみたいだったぜ」。

その数値からすれば1/3の勾配を、列車は安定して下っていく。
途中、単弁での停止練習。
機関士さんの、「好きなように止まっとくれ」指示の元、適度な架線柱を目標に停止を試みる。
だが、出来ない。
相手は108トンの電気機関車。
そう簡単には止まってくれない。
単弁は自弁よりも即答性がある。
ゆえに、機関士さんからは「オモチャみてぇなモンよ」と言われるも、
しかしそのオモチャすらマトモに扱えない。
3段回の制動で止まるのが理想らしいが、緩めては再制動の、 いわゆる「舟漕ぎブレーキ」になってしまう。
何とか停止位置へ。

「ん~85点ぐれぇだな」

寛大採点、ありがとうございます…。
ギャラリーにガン見されつつ、何とか出発地点まで戻ってくる。
停止目標にもピタリとは行かず、若干手前で止まってしまう。
力行で位置調整の後、停止。
逆転器〔中立〕。ブレーキをかけ、全てのスイッチを切る。
パンタを下げ、メイン電源を切った時の安堵感。
何はともあれ、約30分の実習が終了。

いやはや、お疲れさまでした!(長文読解も
 

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第五回は、大まかな手順は何とか覚えたものの、ブレーキの扱いがアマチャンだった。
しかしながらT機関士の丁寧なご指導と、現役時代のお話も聞け、
色々と充実でございました。

「489系は下り(勾配)だと重くて、 速度警告のランプが結構点くから運転しにくかったぜ」
「ロクニは90キロ以上出すと振動凄くて、ゴハチ(EF58)のほうが乗り易かったな」

その一つ一つが、素人には興味津々なのです。
もはやココまで来たら本名でもオッケーだろうと言うことで、登場して頂くTさんこと田中機関士さま。
有難うございました。
また機会が合えば、教えてあげてください。

・AFTER
019.jpg 70445afd.jpeg
016.jpg
碓氷峠の鉄路が、新幹線に世代交代してから14年。
現地では、今年も変わらずにコスモスが咲いていました。
一つの節目に、最高の経験をさせて頂いた文化むらの方々に、心からお礼申し上げます。

2011-09-30 : 旅テツ : コメント : 3 : トラックバック : 0
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非公開コメント

No title
電Go!とか鉄シミュみたいにはいかないですねぇ、流石実車。
まぁ、今のEH500とかEF210あたりだとまた違うのかも知れませんが……EF63あたりはまだまだメカメカしている時代でしたし。
JR貨物でも機関車を運転出来る運転士が少なくなっている、というのは何となく納得です。
2011-09-30 07:18 : たかさき URL : 編集
No title
5回目の実車お疲れ様でした。
あれ、3連休最終日だと私も行ってましたよw
(運転はしてないですが・・・)

しかし5回目とはいいつつも
なかなか落ち着いて状況を
見ておられるような印象を受けます。
これなら間隔はあいたとしても
上達は早いと思いますよ。

手順や感覚を文字として残しておくのは
今後の上達に大きな力となりますよ。
がんばってくださいね!
2011-10-01 00:08 : ぽんこ URL : 編集
No title
>たかさきさん
最近のカマは、ブレーキも電車と同じ電気式で
“弁”ではなく設定器扱いらしいですからね。<扱い易い

ただ、ロクサンも自動進段やバーニア制御等、
結構なオートマ機構が積んであって、
機関士さん曰く「安心して乗れたぜ」。
昨今の、コンビニにATでエクストリームアタックかます方々に
見習って欲しいです。

>ぽんこさん
ありがとうございます。
と言うか、最終日いらっしゃってたですか。
自分らはB1B2で入ってましたよ(後の方は乗車600回オーバーと言う…)。
ひとまず、持参のレコーダを聴き返すことで、
嫌でも客観視させられるのかも知れませんね。
むしろヘコむんで、次こそは!と言う。
ノッチ扱いの音ひとつ取っても、機関士さんとの違いが歴然ッス(精進
2011-10-01 01:45 : バーニア600 URL : 編集
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神奈川在住の、
自称鉄道マニア兼絵描き。

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